「クラッシュ」と聞いて、クローネンバーグやストラマーを思い出した方には残念ながら、今回ご紹介するのはお正月第2弾公開予定の映画「クラッシュ」であります。 大した前知識もなく、見始めたんだけどこれがイイっ。(ネタバレしたくないので「あらすじ」など詳細は公式サイトをご覧いただくとして)私的には2006年劇場公開映画ベスト5に入るんじゃないかってぐらいのヒット作でありました。 私なんぞの稚拙な文章では、なにをどう説明すればいいのか難しいとろこだけれど、要はアメリカの日常生活を描いているだけの、この映画。(個人的には小津の「東京物語」アメリカ版「L.A.Story」なんて書いちゃいたいほど)。でもそこは刺激的な街「L.A.」。何ごともなく淡々と話が展開するわけがない。それなりに事件なり事故なりが発生していくんだけど、それがまた日常だったりするわけで。 アメリカで生活したことのある人だとホント「あるある」の連発で、そんなアメリカで生活していく中での「あるある」を上手く切り出して、1本の映画としてここまでまとめた監督の力量はすごいとしかいいようがない。しかも初監督作だなんていうから驚く。(とはいっても映画「ミリオンダラーベイビー」の脚本家でもあり、それ以前にもテレビドラマを多数手がけているのでそれだけの実績はあるらしいのだが) この映画には多数の登場人物がいて、それぞれに違うバックグラウンドがある。違う人種。違う宗教。違う文化。そんな彼らが同じ社会で生活していくということがどういうことなのか。破綻や混乱させることなく、それら「アメリカが抱える問題」を的確に、わかりやすくストーリーに織り込んで作品を完成させた技は職人芸だとしか言いようがない。 これから、アメリカで生活するという人には是非見ていただきたい。この映画を通して、アメリカで生活するというのがどういうことかを少なからず疑似体験していただけることだと思う。 そこには勧善懲悪なんてものはない。誰もが己の価値観の中で普通に生活しているだけ。「本音と建前」なんてアメリカ人には縁の無い言葉のように私も思っていたのだが、アメリカ人にはなくても「社会」には確実にある。表立って口に出しては言わないが、暗黙の了解としてみんなが感じている問題。ギャップがあるにも関わらず、それをどうすることも出来ないストレス。 決して気持ちのいい映画ではないが、何かしら考えることができる映画でありました。 ★★★★
by yaling
| 2006-01-09 13:30
| 映画・TVのぼやき
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