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では実際に北野作品は面白いのかどうかというお話

けなすこととほめること。P・ケイルと淀川先生の御本のこと。

いつもオフビートなacoyoさんからのTB。

ま、私も評論家なんてものは自分では何も出来ないのに人の作品をアーダーコーダ言うだけでお金がもらえる仕事だと思っていたのですが、それでも腐っても職業として成立させる為には思ってもいないことを書いたり、クチにすることもありえるわなぁと考えておりました。

それに、世間で大ヒット作となった作品を見て「面白い」といったところで、やっぱりプロとしてはお金を受け取り辛いのか、どうしても斜に構えた意見やら、ひねくれた物言いをする評論家は多数存在しており、得てして彼らが高評価したところで最終商業的に失敗するような作品は映画会社としては失敗作なわけで。

ここが問題なんですよね。

何をベースに評論するかによって、基準が変わってくる。芸術として映画を見るのか、はたまた、商業的娯楽性を基準にしてものを言うのか。

私はハリウッド派なので重箱の隅を突付いて、監督の意図していないようなシーンにまで意味を持たせるようなマネには疑問を感じる。だいたい、感性なんてものは人それぞれな訳で、それを感じ取れた人は偉くて、判らない人はバカだなんていう強引な論法は好きになれない。

あくまでも商業ベースで結果を出した作品は結果「良作」であると、例えマニアの本心としては不本意であっても認めざるを得ないと考える。

ただ、acoyoさんも書いている通り、誰かが何かを論じている時点でどこかに偏りは生じるわけで、本当の意味での公正中立な評論なんて「♪それはちょっとでーきないー相談ねぇ♪」なわけで、評論をみるにも自分と感性のあった評論家を探す必要があることは確かである。

で、本題の北野作品であるが、好き嫌いは別として「HANABI」までは全部しっかり劇場に足を運びました。第一作「その男凶暴につき」の暴力シーンは当時の私にとってはこれまでに感じたことのない衝撃であったと記憶しており、それからずっと新作は劇場に足を運ぶようにしておりました。

でもね、やっぱり、面白いか面白くないかだけを論じるのであれば、一般的にはそれはイコール商業的に成功したかどうかで考えるべきであって、「日本人にはこの良さはわからない」なんていうのは詭弁なのではないかと私は考えるわけです。本当に面白ければ、口コミで広がって、それなりの興行成績を残すもんであると。(中にはそうでない恵まれない作品もあるのはありますけど)

じゃあね、海外では高評価だとおっしゃいますけど、それだけの興行成績を収めたのでしょうか。それに関する記事がgoogleのキャッシュ(元のページはなくなっておりました)に残ってましたので紹介いたしますと(98年5月ZAKZAKより)

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たけし「HANAーBI」全米ヒット

「HANAーBI」が「タイタニック」を撃沈! 20日(現地時間)に北野武監督(51)=写真=の映画「HANAーBI」が全米公開されたが、24日に発表された週末3日間の興行成績によると、一館当たりの興行収入でアカデミー賞11冠の「タイタニック」を上回る全米3位にランキングされ、幸先のいいスタートとなった。

 「HANAーBI」は先週末、ニューヨーク、ロサンゼルスなど大都市を中心に9館で上映され、約5万9500ドル(約773万6000円)の興収を上げ、初登場ながらトータルで45位にランクされた。これは、独立系作品の興行ランキングでは5位、外国語映画としてはトップという好成績。

 さらに、映画館1館当たりの興収では、6612ドル(約86万円)で、「エベレスト」(3万1013ドル)、「スリル・ライド」(1万6548ドル)に次ぐ3位となった。興収世界一の「タイタニック」(5417ドル=約70万円)は5位。

 もっとも、「タイタニック」は3時間を超える長尺映画のため1日の上映は3回が限度で、3100館以上の映画館で上映されているため、一概に比較はできないが、好調な出足となったことは間違いなく、米国での成績を気にしていた北野監督も喜んでいるという。

  「HANAーBI」は独特の映像美、世界観からヨーロッパを中心に高い評価を受けているが、単純明快なエンターテインメントがヒットする米国でも北野作品が受け入れられることが証明されたかっこうだ。

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「タイタニック」を抜いた!なんていうのを見て「ほら見ろ」なんていうのはちょっと待ってね。
あくまでも単館系ロードショーなわけで、合計では足元にも及ばないわけですから。それを1館あたりなんていう数字を持ち出してもあまり意味はない。

全米オープニング興行成績1位なんて見出しはよくみるけど、これがどれだけ意味のないことかご存知でない方のために説明いたしますと、例えば、今週末公開の作品が5作品あったとして、その中で初日の興行収入が一位であればこの文句を使用するわけですから、来週も再来週にも「全米オープニング興行成績1位」の作品は登場するわけですから、年間でいうと、52本の1位が生まれるわけですよ。

映画業界のこのような独特の謳い文句はあてにしないでいただきたいのですが、結局何を言いたいのかというと、世界の北野作品もその程度の一部のマニアの間では受けはいいけど、それだけのことだということ。面白いか面白くないかと問われれば、世間は面白くないと判断したということ。

本当の意味での世界の北野になるにはもっともっと頑張らないといけないわけで、その辺のオカマに何を言われようが、そんなもんは放っておいてください、そこで頑張らないでくださいということであります。

彼らも所詮はお金儲けですから。面白いことを言ってナンボです。北野作品があっての評論家であって、評論家あっての北野作品ではありません。いわば、評論家は北野作品のおこぼれでオマンマを頂いている存在だということを忘れないでください。

他の監督が「俺の作品は芸術だから、世間には認知されなくても構わない」なんていうのは勝手に言ってもらって構いませんが、北野監督にはあくまでも娯楽として世間に認められるような作品を作ってもらいたい。「ビートたけし」と「世界の北野」は別だなんてたまにおっしゃいますけど、そんな風に逃げないで欲しい。だって、アナタは私にとって一流のエンターテイナーなんですから。

注:だからと言って評論家の全てを否定しているわけではありませんよ。自力では絶対に見ないような良作をどんどん評価して世に知らしめていただけると、ハリウッド好きな私にもそんないい作品に出会えるチャンスが生まれるわけですから。そこんとこ夜露死苦。
by yaling | 2004-11-26 13:55 | 映画・TVのぼやき
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